【家族の羅針盤】「万引きは繰り返す」という宣告。僕らが決めた6つの方針。

育児×学び
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🗓️ 2026.01.10

土曜日の朝

今日は長男・エイリアン王子の知能検査の結果を聞くため、専門のクリニックへ足を運んだ。昨年12月に受けた検査の結果だ。

結果は、以前鑑別所で受けた内容とほぼ同じ。平均より少し下で、いわゆる「発達障害」の診断には至らない。正直、診断名がつけば支援の仕方が明確になるのでは……という期待もあったけれど、現実はそう簡単ではなかった。

心理士さんが検査結果を説明しながら、淡々と言った。
「万引きは、また繰り返しますよ」

その言葉に、嫁っちは深いショックを受けているようだった。けれど僕は、不思議と「だよね」と腑に落ちてしまい、逆に心が軽くなるのを感じた。
それは彼への信用を失ったからか、あるいは次に再犯した時のショックから自分を守るための防衛本能か。どちらにせよ、どこか残念で、けれど冷徹に現実を受け止めた瞬間だった。

現場の完遂と、力を蓄える夕食

午後からは出勤し、管理施設での建具補修工事の監督へ。
塗装から片付けまで、すべての工程を見届けて施工完了。現場が綺麗に整う様子は、乱れた心を少しだけ整えてくれる。

19時前に帰宅すると、食卓には立派なステーキが並んでいた。
「元気になるものを食べよう」と、嫁っちが準備してくれたものだ。綺麗な赤身肉に、手作りのニンニク醤油。そのガツンとした旨味が、今日一日削られた精神に活力を注入してくれた。

深夜の夫婦ミーティング。僕らが導き出した「答え」

子供たちが眠りにつき、静かになったリビングで、嫁っちと今後の長男への関わり方についてじっくり話し合った。

論理や倫理を優先し、行動で「矯正」させようとする僕。
そんな僕の言葉や態度が「厳しすぎる」と感じ、寄り添いたいと願う彼女。
お互いの不安も希望も、包み隠さず出し合った。そして今日の検査結果も踏まえ、僕たちは一つの「羅針盤」を作り上げた。


📝 長男への関わり方|今後の方針まとめ

  1. 問題行動より「人としての核」を見る
    万引きという行動が彼の全てではない。日常の優しさや他者への思いやりなど、彼の持つ「核」が残っていることを信じ、行動と人格を切り離して評価する。
  2. ゼロを求めず「被害最小化」を評価
    いきなり「完全停止」という高い壁を求めない。金額が減った、隠さずに話せたなど、回復プロセスの途中の変化を肯定する。「黙って警察に行くより、言ってくれる方がはるかに良い判断だ」と。
  3. 怒りより「予測される結果」を淡々と伝える
    感情で叱るのではなく、出禁、信用喪失、自由の制限といった「事実ベースの現実」を、脅さず、短く、毎回同じ言葉で伝える。罰ではなく現実を教える。
  4. ストレスは「体に出る」前提で見る
    腹痛や食欲不振は、彼の「心のしんどさ」のサイン。原因探しをする前に「しんどかったね」「話してくれてありがとう」と、まずはサインを受け止める。
  5. 能力は否定しない、使い道を変える
    視覚的・構造的な理解力という彼の強みを、悪い方向ではなく「正しい使い道」へ誘導する。ミッションや役割を与えることで、強いエンジンを制御するブレーキを育てていく。
  6. 親子の信頼を最優先に守る
    「がっかり」をぶつけるより、正直に話して戻ってこれたことを重視する。「お前に幸せになってほしい」というメッセージを、言葉にして伝え続ける。

📝 今日の発見メモ

心理学の視点:条件付きポジティブ・リガードからの脱却

  • これまでは「万引きをしないなら愛する(認める)」という条件付きの関わりになりがちだったかもしれない。今日決めた方針は「どんな行動をしても、お前の人格(核)は否定しない」という「無条件の肯定的関心」へのシフト。これは、本人が自分を取り戻すために最も強力な心理的土台になる。

孫子の兵法:謀攻篇「知を知るとし、知らざるを知らずとする」

  • 孫子曰く:「これを知るとし、これを知らずとせよ。これ知るなり」
    • (知っていることを知っているとし、知らないことを知らないと認める。それが本当の「知る」ということだ。)
    • 心理士の言葉を受け入れ、自分たちの限界と現状を正しく「知った」。そこから導き出した方針は、理想論ではない、現場に即した最強の戦術。

ライオン視点(論理・行動)

  • 構造的アプローチ: 感情論に逃げず、6つの項目に構造化して方針を策定。属人的な判断を排し、夫婦で「共通言語」を持つことで一貫性を確保した。
  • 目標設定の現実化: 「再犯ゼロ」から「被害最小化」へ目標を下方修正。これにより、親側の燃え尽き症候群を防止しつつ、継続的な支援を可能にした。

うさぎ視点(感情・共感)

  • ステーキの愛: 言葉にできない不安を、美味しい料理で支えようとする嫁っちの優しさ。ニンニク醤油の香りが、絆を強くしてくれたね。
  • 「だよね」の重み: 期待を捨てるのは悲しいけれど、それによって心が軽くなったのなら、それは再生への一歩。

バランス(どう整えた?)

  • 「ショックな宣告」という暗い話題を、ステーキという「活力」と、方針策定という「前向きな行動」で挟み込んだ。
    絶望で終わらせず、迷った時の「合言葉」まで用意することで、明日への希望を構成にした。

まとめ:今は、回復の途中。

迷ったときは、この言葉を唱えよう。

「今は回復の途中」
「核は残っている」
「一緒に修正している段階」

土台は、一日にして成らず。
何度も崩れ、何度も塗り直し、そうして少しずつ強固になっていく。
僕ら夫婦が同じ方向を向いている限り、この家はまだ、何度でもやり直せる。

明日は今日よりも、少しだけ広い心で、息子に向き合える気がする。


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