家族か使命か。東日本大震災で感じた自分の在り方

歴史×学び
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はじめに

2011年3月11日。日本中が揺れたあの日、僕は自衛官として任務に就いていた。そして、僕にも災害派遣の命令がかかった。日本を守ること、それが自衛官としての使命であり、誇りだった。

しかし、そのとき僕は家族としての大きな岐路に立たされていた。なぜなら、長男の誕生が間近に迫っていたからだ。臨月の妻を置いて、災害派遣に行くかどうか。僕は悩み、葛藤した。

まず初めに、あの日以降あらゆる分野で尽力された方々へ深い感謝の意を表します。そして、被災された方々へ心よりお悔やみ申し上げます。


葛藤と選択

自衛官としての使命感と、家族を守るという責任感。その二つが激しくぶつかり合った。どちらも自分にとって大切なものだった。

任務に行くべきだ、そう思う自分がいた。自衛官としての誇りと責任を全うしたい気持ちが強くあった。しかし、もし万が一のことがあったらどうするのか? 生まれてくる我が子と、その命を懸けて出産しようとしている妻を置いていくことが、本当に正しい選択なのか。

あの日々、僕は眠れない夜を何度も過ごした。自分にとって何が大切なのかを必死に考え続けた。そして、最終的に僕は上司に相談し、災害派遣を辞退することを決断した。それは自分にとって苦渋の選択であり、同時に自分の生き方を見つめ直す大きな機会でもあった。


家族愛と使命感の狭間で

この選択は、自分にとっての優先順位を再確認する出来事となった。家族を守ること、それが自分にとっての最も大切な使命だと気づかされた瞬間だった。

もちろん、自衛官としての役割を全うすることも尊いものだ。それを否定するつもりはないし、むしろ誇りに思っている。だけど、家族という存在があってこそ、自分が本当に守りたいものに気づけたんだと思う。

僕がその時選んだのは、「今、最も守りたいものに全力を尽くすこと」だった。


この経験から得た学び

自衛官としての誇りと、父親としての責任。その両方を天秤にかけたあの経験は、自分にとっての「覚悟」を深めてくれた。

使命とは、決して一つだけではない。仕事としての使命もあれば、家族を守るという使命もある。どちらを選んでも間違いじゃない。でも、自分にとって本当に大切なものを見極める力が必要だということを、この経験から学んだ。

また、もし同じように選択に悩む人がいたら伝えたい。自分にとっての“本当の使命”を考えることは決して逃げではない。むしろ、自分の価値観を見つめ直す大切なプロセスだと。


読者へのメッセージ

皆さんにとって、本当に守りたいものとは何ですか?

もし、今何かを選択しなければならない状況にあるなら、一度立ち止まって考えてほしい。自分にとって本当に大切なものは何かを。

この経験が、少しでも誰かの力になることを願っています。そして、どんな選択をしても、それを自分なりの「使命」として全うできることを心から祈っています。

ライオンのように強く、うさぎのように優しく。僕たちの旅はこれからも続く。

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